穴水町復興対策会議能登半島地震復興支援ブログ

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穴水の未来を考える会/論点の整理

◇穴水の未来を考える会/論点の整理◇

 復興サロンが始まって1年2ヶ月、「考える会」と名を変えてから9ヶ月が経とうとしています。
毎月25日に重ねてきた会の内容も、当初のいわゆるサロン的な談話の場から、議論の場へと変わりつつあります。

 RSYは、地震直後から事務局長浦野が被災者支援を目的に穴水に入り、以後社協さん、地元穴水のボランティアグループをはじめ、商店主の皆様、他サロン参加者の方々、役場と様々な方とつながり、皆様から「復興」についての様々な学びを得る一方、外部者としてサロンに携わることで、応援を続けてまいりました。

その過程では、かきまつりの際など名古屋からの応援団も加わり、穴水の方々との交流も深めることができました。

 考える会も、「江尻屋を開ける」という段に差し掛かり正念場を迎えています。
真剣に江尻屋のことを考えているからこそ、それぞれの考え方の違いが議論に如実に反映されるようになりました。

 私が明日の江尻屋部会に出られないこともあり、これまで、そして今、考える会で話し合われてきたことを整理し、私なりの意見を述べようと思います。


もちろん、参加者のみなさんから異論反論もあるでしょうが、一私見として、そのたたき台にしてくだされば幸いです。

■穴水の未来を考える会の趣旨(07年11月3日シンポジウム発表スライドより)
1. 自由に意見を出し合う場
2. 批判するだけでなく,どうやったらうまくいくかを考える場
3. よいアイディアは穴水町の既存の各組織に提案
4. 誰もやる人がいなければ,自ら動く
5. 楽しみながら!

…というのが当初の趣旨でした。
趣旨が達成できているか検証すると、いす部会の取り組みが商店振興会に振られたり、森林組合でベンチを作っていただいたりというのは3.として達成しているし、川部会の掃除や江尻屋部会の取り組みは、4.としてやられています。

1.や2.も毎回ある程度守られていますし、考える会は十分機能しているといえます。5.は最近怪しくなってきましたが、それは今が踏ん張り時だからと考えられます。

 今後も、私たちはこの本来の趣旨を時々見返し、確認する必要がありそうです。

■江尻屋部会に関する論点の整理
 川、いす部会の取り組みは、身の丈に合った形でうまく回り始めています。

一方、江尻屋さんのお店を開けたい、または空き店舗のシャッターをひとつでも開けたい、というのは、考える会の当初からの願いでしたが、それを現実化するにあたり、月1回の議論+部会では解決がままならないような問題も出てきています。
以下では、私の視点から、論点を整理したいと思います。

○法人化/任意団体
・江尻屋は江尻さんから借りなければならない。
・借りる主体の責任所在を明確にさせるために、法人化は必要である。

○株式会社/NPO法人

・この問題は、まず、組織形態として私たちが作ろうとしている法人が「株式会社かNPOか」を選ぶ問題と、組織形態に関わらず、私たちの方針として「営利か公益性か」を選択する二つの問題から成り立っている、と整理する。

組織形態と方針の二つの問題を混同してはならない。

1.組織形態の選択
・7月のサロンでは、株式会社、NPO双方の利点欠点が参加者から出されたが、誰もが(私も含め)経験や不完全な知識による意見を述べたに過ぎず、参加者全員を納得させる理由を挙げるには至らなかった。

・そういう意味では、組織形態の選択について有識者と呼べる人から一度は皆でレクチャーを受ける必要があるかもしれない(栗田とは限りません)。

・7月のサロンの議論では「株式会社=営利追求=私利私欲を満たすもの」、「NPO=ボランティア=限界がある」という究極の選択として語られていた感があるが、どちらも本当ではなく、株式会社であっても公益性を確保することができるし、NPOであっても利潤を生むことができる。

・従って、営利追求と公益性のバランスは、次の方針の選択の問題に譲り、ここでは制度として私たちのやろうとしていることにより適合する選択をしなければいけない。

例えば、株式会社、NPOのどちらかを選択したときに:
- 穴水住民、穴水外の市民、町、県など他の人々に与える印象
- 法制度上における活動の限界 …など
がどうであるかを見極めなくてはならない。

・また、株式会社/NPOのどちらかを選ぶだけが選択肢ではなく、まちづくり会社と考える会の組織形態を分ける、あるいは少し調べただけでも有限責任事業組合(LLP)や協議会方式など多様な案があることがわかる。
こういった「第3の選択肢」も含めて勉強し、専門家の意見を聞く必要がある。

2.活動方針の選択
・今後の「穴水の未来を考える会」あるいは「江尻屋を舞台にした事業」がどの程度営利を追求するもので、どの程度公益性を追求するものかについての方針を選択する必要がある。

・私たちの取り組みは100%営利追及でもなく、100%公益的なものでもないことは参加者全員が理解している。
しかし、では両者が8対2なのか、5対5なのか、2対8なのかというバランスについては、サロンに参加する各人によって意識が異なっている。

・まちを活性化することは、多かれ少なかれ「個」を犠牲にして「公(おおやけ)」に資する気持ちを持って活動することだから、純粋な経済活動ではない。

一方で、参加者に過度の利他性(他の人の利益になることをすること)を期待するにも限界がある(1000円の出資者が、3年後に5000円増資を迫られる、個々人の時間を過剰に奪われる等)ので、「儲かる仕組み」を内部に作っておくことは自分たちが生き残るためにも必須である。

・(以下特に松田の私見)私としては、「誰が儲かるのか」ということも考慮して、以下がベストな選択だと考えている。

- 江尻屋事業本体は多くの利潤を生むものではない。
ただし、江尻屋という空間を維持するだけの資金は、江尻屋自身によって生む仕組みをつくる(例:チャレンジショップ・サテライトオフィスの賃料)

- 江尻屋の空間は、その意思がある人に商売の機会を提供する(チャレンジショップでの商品の売上)。まちづくり会社は、その商品が売れるためにできる支援を惜しまない(ニューズレターでの宣伝等)。

- 一方で、江尻屋の空間を「地域の縁側」にしたいという思いは、考える会の総意であった。従って地域の縁側部分は利潤を生まなくても、その空間は確保する。

○独立採算/補助金利用
・基本的には上記の仕組みで江尻屋を維持する。
行政からの補助金は考慮に入れない。
また、補助金で大風呂敷を広げるのであれば、規模を縮小してでも自立できる運営方法を採用する。
・初期段階で江尻屋を「使える空間」にする目的に限り、申請できる補助金には申請する。

○江尻屋の空間の使い方
・基本方針は、上記「活動方針の選択」に従い、「チャレンジショップ」「サテライトオフィス」「地域の縁側」機能を持つ場所に等分する。

・「チャレンジショップ」の場所が希望者に比べて限られる可能性がある。具体的に誰が江尻屋の使用を希望しているのか、そろそろ意向調査をする必要がある。

■外部支援者の関わり方-RSYは何を応援しているのか?
・とにかく記録を残してきた。それは、同じ議論が繰り返されて堂々巡りになり、空転するのを避けるためである。

・離れた場所にいることで、問題を客観的に受け止め、一連の取り組みが空中分解するのを防いできた。

・しかしながら、やはり中心は住民の皆さんである。
責任逃れのために言うのではなく、最後は穴水の方々の意思に従うつもりである。
また、格好をつけて言うのではなく、あくまでも穴水の町自体を応援するために来ている(参加者の方々をサポートするためではない)。

・私たちの強みとして、神戸から13年日本全国の被災地とつながりを作ってきた点が挙げられる。
最近になり、被災地どうしの交流には、単に知り合う、元気をやり取りする以上の、学びと価値があると感じ始めている。

穴水の皆さんはまず川口町の方々と知り合い、交流が継続的になりそうだ。私たちが今後も穴水を支援し続けることで、次にどこかで災害が起こったときに、その被災地の方々がまず穴水を訪れるような、穴水が将来の被災地を勇気づける場所になったらいいと考えている。

■最後に
 若造がつらつらと失礼しました。
私は学生に毛が生えた程度の知識しかなく、自身を専門家とも言えず、かといって商売のセンスもなく、支援者としては非常に不甲斐なさを感じています。

RSYは、運営形態上被災地に足を向ければ向けるほど経営が厳しくなるのが実情ですが、それでも穴水からの学びはそれ以上の価値があると信じて通わせていただいています。

 とはいえ、外部者は外部者、今後どのような展開になるのか私にも予想がつきませんが、今穴水で起きている動きを大切に育てるために、もう少しの間、今まで同様温かく迎えてくだされば幸いです。

2008年8月8日
文責:特定非営利活動法人レスキューストックヤード・松田曜子